この世界はラグナロクオンライン、通称ROと呼ばれる世界。
ここは色々なできごと、人、モンスターなどがいたりあったりする。
この話はその一部場所の一部の人のお話。

【二人の戦い】


ここに二人の若い夫婦がいる。
一人は女性騎士(ナイト)のクリス。銀に近い白の髪をした姿でスピード重視型の両手剣を持った姿が美しく職位の銀の乙女という言葉が似合い、ペコペコのスミレに乗っている。性格は怒りやすいところをぬかせばギルドのマスターにふさわしく優しく、みんなの中心人物として申し分ない憧れの女性。
もう一人は男性暗殺者(アサシン)のシンディス。灰色の髪を肩まで伸ばし、カタールでの急所攻撃(クリティカル)が気持ちよいほどでてかっこいい。性格はクリスとは逆に怒らなさすぎなところをぬかせば、こちらも優しく、包容力のあるギルドの中では兄的な存在でやはり憧れの男性。
この二人が今ゲフェンダンジョン地下2Fでいつものように仲良く狩りをしていた。
「私、あと10分ほどでポーションきれるからそうしたら戻ろう」
「ああ、わかったよ、それじゃあそれまでがんばろうか、クリス」
そして奥まで二人はモンスターを倒しながら進んでいくとクリスがあることに気がついた。
「ねえ、あの傷ついた人達は・・・?」
「え?」
ペコペコにのっているためシンディスよりも遠くを見ることのできるクリスはその人達がいる場所までいそいできた。
「大丈夫ですか?」
だが反応がない。
他の人達にも声をかけたが反応が無かった。
「こんなに人が死ぬなんて・・・」
「・・・もしかしたらあの噂は本当だったのか?」
「噂?」
「ああ、ここに出るといわれた伝説のモンスターさ」
「でも、その一族は昔殺されてもういないって」
「だが、噂と言うには信憑性がありすぎるしこの状況をみたらな・・・」
「じゃあ、ここに?」
多くの生き物が羽ばたく音をさせながら近づいてきた。
「・・・静かに、ちっ、気づかれた」
「危ないよ、逃げようよ」
「クリスは逃げてくれ、その間俺が時間をかせぐ」
「いやだ!シンディスを置いて逃げれないよ!」
「大丈夫、俺も後で逃げるから」
「でも・・・」
「スミレ、お前のご主人を守ってやってくれ」
ペコペコは頷きある程度の離れた場所まで走った。
ペコペコが止まって少したってからそのモンスターは多くのモンスターを従えてやってきた。
「ほう、ここにも人間がおったか」
「お前をこのまま野放しにしたら好きな人に迷惑かけるのでね」
このモンスターはドラキュラ、ファミリアー(使い魔)を従えてシンディスの前にやってきた。
幸いクリスは見えない場所にいたため気づかれずにすんだ。
「そうか、勇気のある者よ、だが己の力を知らずに戦いを挑むのは無謀でしかないぞ」
「自分の力はよくしっている、だが俺は勇気のある者でも無謀な者でもない、ただ好きな人を守るため、これ以上被害を出さないためだ」
「・・・久しく見ない心の強き者よ、貴殿の名前はなんというのだ」
「俺はシンディス」
「シンディスか・・・良い名だ、その名に恥じぬよう我がドラキュラも全身全霊で戦おう」
ドラキュラの戦おうという言葉を皮切りにファミリアーは全員で襲ってきた。
「こんなもの!」
シンディスはブラストクリップを持ち、剣士系のみが使える、マグナムブレイクをファミリアー達につかった。
「こんな雑魚では俺は倒せないぞ」
「・・・そうだな、だがこれはどうかな」
ドラキュラが指をならすとドラキュラの後ろの空間が歪みはじめ、黒い渦ができた。
その黒い渦からファミリアー達が止め処も無く湧いてきた。
「貴殿のような動きの早い人間は多くのモンスターに囲まれれば動きが鈍くなると聞く」
「くっ・・・」
苦戦を虐げられているシンディスを見たクリスは居てもたってもいられず、ペコペコをシンディスの居る場所に走らせた。
「ボーリングバッシュ!!」
クリスの強力な斬撃によりファミリアー達がたおされ、近くにいたドラキュラも攻撃をくらった。
「くっ・・・関係の無いものがシンディス殿と我の戦いに割り込むとは騎士道に反するぞ!!」
「関係なくはない、私はクリス、シンディスの妻で苦戦しているようだから加戦しただけ!」
「ほう、クリスとやらか・・・シンディス殿が言った守るべき人、か」
「シンディス、私はこのファミリアー達を対処するからドラキュラをお願い」
「わかった」
そして二人と一人の本当の戦いが始まった。
クリスは止め処も無く湧いてくるファミリアーを数が少しなら通常攻撃をして、大量にきたら威力を弱めたボーリングバッシュを使い、沈めていった。
それに対し、シンディスは的確に急所攻撃(クリティカル)をしていき、相手の体力を多く削っていった。
〈このままではまずいな・・・我とこの者たちの体力は違えど連携が凄まじくよい、気をそらせてみるか〉
戦いながらもドラキュラは思案をして、相手の隙をねらった。
そして黒い渦をドラキュラはみてあることを発動した。
ファミリアーの大群を発生させ、倒しても倒してもきりがなくさせてクリスをおいつめた。
「クリス!大丈夫か!」
「ええ、大丈夫だから気にしないで」
とは言ったものの倒すのに時間がかかり動きが鈍くなってきた。
それをドラキュラと戦いながらも心配そうに見守っているシンディス。
シンディスの顔を見て、いけると思ったドラキュラは思い切りシンディスを攻撃をしてふっとばした。
その数瞬の間にドラキュラは姿を消し、シンディスを攻撃した。
「それほどのものか、貴殿はやはり人間だな、他のものの心配などする余裕がどこにある!」
「余裕なんてないさ、さっきも言っただろう好きなものを守るためだってな」
「我は貴殿を買いかぶりすぎたようだな・・・姿が見えない我を心の弱き者が倒せるはずが無いからな」
「たおせるさ・・・」
「負け惜しみを」
ドラキュラはシンディスの近くを姿を消しながら動きまったが、シンディスは心を落ち着かせアサシン特有の異常な聴覚を使いドラキュラの動きを聞いた。
そして攻撃してくる瞬間、シンディスはドラキュラに意識を集中させる前に気づかれないように拾った土を技術(スキル)の砂まきの要領で相手にかけた。
「我の場所がわかったというのか、どうやって・・・」
「アサシンっていうのは元々耳がよくてな、集中すればお前の居場所はわかるさ」
「それが倒せるといった自信か」
「いや、これは集中しなければいけないという欠点があるためどうしても一回しか使えない」
「ならば、今の攻撃は無駄に終わったというわけか」
「どうかな」
〈解せん、考えがわからんことには迂闊にシンディス殿に挑むのは得策ではないな・・・それなら〉
ドラキュラはまだ姿を隠しながら動き回り、間合いをとりながら相手の隙をつき手に魔力を集中させながらクリスのいる場所に猛スピードで飛んだ。
「まずい!クリス、宙にういている土のついた姿をけしたドラキュラが行った、逃げてくれ!」
「え?」
シンディスの忠告をうけ体が一瞬動きが鈍った。
だがドラキュラの猛スピードでの飛行は止まらず、気づかずにいるクリスに魔力のこもった手で急所を攻撃した。
意識が薄いながらもまだ生きていたクリスは立ち上がろうとしたがそこへ、姿を現したドラキュラが思い切り蹴りをいれ血を多く流してたちが上がれないほどになった。
「はっはっは!貴殿の守りたいものを壊したぞ、この苦痛に歪んだ顔を見るのはやはり格別だ!だが我も血を流しすぎた、クリス殿の血を一滴残らずに吸わせてもらおうか」
「やめろ!クリスにこれ以上手をだすな!」
クリスを傷つけられた悲しみと守れなかった己自身に怒りを感じながら手に力を集中させてスキルを発動した。
「クリス!!お前を愛している!!」
シンディスは苦痛に顔を歪めながらも手に持った光をクリスめがけて投げた。
クリスは光り輝き、出血をしていた場所がふさぎ、ゆっくりと立った。
「なっ、なぜ聖職者でもない貴殿が回復魔法を使えるのだ!」
「これは特殊なスキルでね、誓い合った二人しか使えない己の体力を犠牲に相手を回復させるスキルなのさ」
「シンディス、ありがと・・・」
「いいって、あいつもあと少しみたいだ、一緒に倒そう」
「うん、シンディスと一緒なら」
「ふっ、面白い!実に面白いぞ!やはり人間と戦い、血を吸うのもよいがこのような楽しい戦いもできるのもやはり人間だけだな」
「俺は楽しいとは思わない、だがお前を倒さないとここいる多くの死んでいった人達のような惨劇がこれからも増える、そんなのは耐えれないからな」
ドラキュラとシンディス、そしてクリスは向き合いながら二人は話をした。
「といっても俺はもう精神が不安定でもう空っぽなんだ、だからクリス最後の止めはお願いできるか?」
「いえ、シンディスが最後の止めをやって、私の力をあげるから」
シンディスにクリスがキスをして自分の精神エネルギーをわけてあげた。
「シンディス、貴方に尽くします」
うれしくなった心を抑えシンディスが御礼をした。
「これで大丈夫だよね、それじゃあ行こうか」
「ああ、行こう」
「貴殿らも我も限界が近いようだな、最後の戦いと行こうか」
ドラキュラはまた指をならしファミリアーのでてくる空間を閉じてゆっくりと間合いをつめてきた。
「砂かけ!!」
「こんなものは効かぬ!」
思い切り土を払いのけたがその一瞬を見逃さずクリスが間合いをつめスキルを使った。
「ボーリングバッシュ!!」
「ぬお」
ドラキュラは後ろによろめきながら下がり、動きと止めた。
「ラスト!」
全速力で走った二人はドラキュラに二人の得意なスキルで攻撃をした。
「ボーリングバッシュ!!」
「ソニックブロー!!」
二人は全力の攻撃をしてドラキュラを倒した・・・
ドラキュラはゆっくりと姿を消しながらも最後にこういった。
「やはり人間とは面白いものだ、だから我もまた蘇ったときまた剣を交えようではないか」
「またって・・・?」
「我は魔族だぞ、この世界で死のうとも元の世界に帰るだけだ、そして力を蓄えたとき、またこの世界に現れる」
「そうか、そのつど俺は強くなってお前を倒しに来る」
「楽しみにしているぞ・・・」
ドラキュラは完全に姿を消し、今ここにドラキュラはいなくなった。
「これで、倒したのかな・・・」
クリスが戦いから開放され、腰を抜かしたように剣をしまってからペコペコに体をあずけた。
「倒したんだよ、あとはプリースト達を呼びに行ってこの人達を起こしてもらえば終わりだな」
「そうだね」
「おつかれさま、クリス」
「おつかれさま、シンディス」
二人はゆっくりと戦い終わった実感をかみしめながらダンジョン外にいるプリースト達を呼び、死んだ人達を起こしてもらった。
「二人の勝利、だね」
「そうだな、二人の勝利だ」
こうして二人はすべてのことを終え、ギルド員のみんながいる場所に帰って行った。



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