ここは日本。
でも今の日本と違う。
景色は同じなのに今の日本ではない。
でもみんなは今と同じ日本の生活をしている。
ごく僅かだけが全然違うのだけれど。
パラレルワールド?
はーい、ナビゲーターのアメリカ系日本人で青い綺麗な瞳と金色に輝いているロングなヘアーの可愛らしい高校2年のスルーズ=ハシモトでーす。
今私は剣豪の生粋の日本人でもの凄く強い(剣道)のにそれに似合わずもの凄く可愛らしい同じく高校2年の
源川
世奈
ちゃんの部屋のこたつに来ていまーす。
「何言ってるのよ、スー、しかも剣豪って何よ!」
「世奈、そんなこと気にしない気にしない。」
世奈は他に何かを言おうとしたけどため息をしてしまった。
私はナビゲーターとしてこの状況を私なりに解析をしてみました。
“ああ、スーちゃんって何て可愛いんだろうこんな可愛いこと一緒にいると・・・私はノーマルだと思っていたのに・・・はぁ”
って所だと思います、ああ、私は世奈にこんなに好かれていたのですね、私は嬉しくて感激の涙を出してしまいます。
その時私が考えていたら殺気と思い世奈の方を見たら世奈が後ろから竹刀を出してきて私をめがけて振り下ろしてきた。
ふ、甘いですね、そんな手はおみとうしです、それ!!真剣(真剣ではないが)白刃取り!!
だが、予想を反して逆胴(上手く左のくびれあたり)に打ってきました。
「ごふっ、心眼しましたか・・・しかし逆胴とは・・・女の子の腰が・・・子供を産めなくなります・・・」
「何を考えている!!私はノーマルだ、スーと同じにするな。」
ふー、スーちゃんは面白い子なんだけどなぜか私に好意を持っているのよね。
まあ逆胴をしておいたし、こんぐらいなら簡単に回復するでしょう。
さっきスーが紹介していたけど私のほうも言っておきたいことがある。
あ、スーっていうのはスルーズのことね。
それと、一応言っておくがスーはナビゲーターじゃないからな。
あいつが勝手に言っていることだからな。
そして私の紹介だが私はノーマルだし、ちゃんと好きな人もいる!!そこを間違えるな。
「そしてその好きな人が私スルーズ・セン・・・」
思いの外早く回復をしたスーを今度は右の肺の横あたりに横に切り上げ胴をくらわした。
これで起きあがれたとしても一時的な呼吸困難で喋れないだろう。
横でもがいているスーをほっといておこう。
少し落ち着いたら下からどたどたと階段を駆け上ってくる足音が聞こえる。
どたーん、と大きな音がした、階段の最後の段で足をかけて転んだな。
その転んだ張本人が顔面を強打した跡と鼻血をしていた姿で扉を開けてきた。
「さっきからうるさーい!!」
「抄子さーん、世奈ちゃんがいじめるー。」
え!?さっきまでもがいていたスーがなんで立てるの!?
間違いなく数分間は立てないようにしたのに。
「こら!!世奈、スーちゃんをいじめないの!!」
お母さん、それって自業自得というものなのですが・・・
お母さんの紹介をしておくと
源川
抄子
、母親と言うには見た目がこんなでかい子を産んだのかと疑問になるほど若く見えて二十代前半のお姉さん、ロングのストレートで腰まである髪が美しい人。
まあ、ドジなところがあるが、そこも若く見えてしまう所なのだろうが。
私達親子で買い物をしても姉妹にしか見られない。
証拠に私とお母さんと2人がナンパされるぐらいだ。
まあその時はナンパをした奴をおろおろしていたお母さんがいたので普段見ない母親としての姿を見てちょっと笑いそうになったが、私が・・・
「ちょっと、お母さんと買い物している途中なので申し訳ありませんが・・・」
私が言い終わらないうちに男達が
「なに?なんだよ、おばさんだったのか、姉妹だと思ったのによ、そんならいいや、行こうぜ。」
と言ったもんだから、
「ちょっと待ちなさい、ガキども。」
「あ?」
そのまま行こうとしたのでお母さんが呼びかけ、そのナンパをした男2人組は私達と言うかお母さんに、にらんできた。
だがお母さんも笑顔だが相手に恐怖を保たせるには十分なくらいの気迫を出した。
その気迫をうけた男達は恐怖で声も出なくそのまま逃げてしまった。
「なによこの子の母親って言うだけで逃げるなんて。」
私はあえてそのことにつっこまなかった。
つっこんだら確実にさっきの2人と同じことになるだろうから。
話が脱線したため話を戻そう。
「お母さん、スーは私をからかっていたんだよ、そのお返し。」
私はお母さんにはスーが私が好きなのがスーだと言おうとしたからとは言わなかった。
言うのも恥ずかしいし、言ったとして変な勘違いをしたら困る。
「うーん、スーちゃんもからかったみたいだし、手をあげた世奈も悪いのでこういう時は両成敗!!」
お母さんはスーを私の近くまで連れてきて2人の頭をグーで殴った。
お母さんの拳は凄くいたく泣きそうになった。
スーに関しては体を鍛えていないぶん、私よりも打たれ強くないので意識が飛んだ。
「ふう、これで静かになったわね。」
お母さんは下におりようと階段を下りたが中間くらいまでおりたあたりで足を滑らせ階段を落ちた。
階段を落ちた音を聞きながら私は明日のテストのために勉強を続けた。
今日はスーと一緒に勉強することになっていたのになんかどたばたして、勉強に身が入らない。
ただでさえ、私とスーは成績が悪いのにこのまま勉強をしないでいると留年、最悪な場合、退学になる。
それだけは、なんとしても回避をしなくては。
今まで、剣道ばっかりだったからなー。
私は剣道一筋なのだが、剣道でつちかった集中力で中学まではなんとかなり、今の学校へこれた。
だが、そのことが通用したのが高校一年までで、二年になってからそれが通用しなくなり私は普段は剣道の練習をしている所だが、今回はスーと一緒に勉強をすることにした。
「う・・・うーん・・・」
「お、スー、気がついたか。」
「はい、いつくらっても、世奈ちゃんのお母さんのげんこつは痛いです。」
スーは泣きながら頭を抑えていた。
ここでスーの簡単な説明をしておく。
もともとはアメリカに住んでいたが4歳のころに私の家の隣に越してきた。
その時には英語はできていたが日本語はまだできなくさらにアメリカと文化が違うためか馴染めずによく一人で砂場や絵を描いたりして遊んでいた。
だがそれでも子供とは純粋なため時には残酷なことをしてしまう。
一人で遊んでいる髪が金髪で瞳が青色の子供だったため周りにいる人たちはスーのことが気になってしょうがないがそれゆえにからかって気を引こうとする。
そしてそのことが私とスーの話すきっかけになったのだが。
目の前でスーが描いていた絵を数人の男子が破き、スーをからかいはじめた。
「お前はいつも一人でなにやってるんだよ。暗いのがうつるからもうくるんじゃねえよ」
その時はスーは日本語はまだ馴染みはないとはいえ少しずつ覚え始めていたころだったためその男性の言っていることがわかり傷つき涙を流し始めた。
「やーい、スルーズの根暗」
スーが泣き止まずにいることをいいことにその男性たちはさらにいろいろとからかいはじめた。
だが私はもともとこういうことは嫌いなため間に入って近くにあった箒でその男性たちを剣道の要領で攻撃をした。
「お前らはそんないじめをして何が楽しい!女の子を泣かしてはいけないってお母さんかお父さんに教えてもらわなかったの!?」
「そんなの聞いたことないよ、それに友達がいないそいつをいじめて何が悪い」
無論聞いたことがないとはうそだ。
現に幼稚園で先生が最初の日に教えてくれることだったからだ。
「なら私がスルーズちゃんの友達になる!それでいじめることはできないでしょ!」
「お前が友達になるならもういいよ、男女なんてどうせスルーズもすぐに逃げるさ」
「なにおー!」
「わー、男女が怒ったにげろー」
男性たちはからかっているつもりで私が入ったため逃げたようだが、それでも傷つけられたスーは泣き止まなかった。
「スルーズちゃん泣き止んで、私があの子たちをおっぱらったから」
「うぅ…ひっく…うぅ…」
手に持っていた箒を放し、あれこれと考えてみてみた。
その時はすぐにはわからなかったが友達が一人もいない時のつらさがどれほどかというのを考えたことがなかった。
私は友達がいなかったらと考えてみて子供なりにすごくつらいと思えた。
「スルーズちゃん、さっきの私が友達になるっていったけど私が友達になっていい?」
驚いたみたいだが日本語でなんていえばいいかわからないようで口ぱくだけしていた。
「私が友達になるのはいや?」
スーは首を強くぶんぶんと振りそのことに関して否定した。
「なら私と友達になろ」
満面の笑みを私は浮かべて話したらすごくスーもうれしそうで首を縦に強くふった。
「それじゃあ何で遊ぼっか、あ・・・スルーズちゃんの絵こんなになっちゃったね・・・」
私はさきほど男性たちに破かれた絵を手に取り近くにあったセロテープで描いていた側の後ろにはりつけて直した。
「はい、これってスルーズちゃんの描いていた絵でしょ?私不器用だからこんなにうまい絵が描けるのって尊敬するな」
スーは私からわたされた絵を手に取りまた泣き出した。
「え、え!?私なんかした!?ごめんね、なんか悪いことしちゃった?」
スーは首を横に振り違うと否定をした。
「じゃあなんだろ・・・私なんかおかしい行動したかな・・・」
「チガウ・・・」
「・・・スルーズちゃん?」
「助けてくれてうれしかった・・・アリガト」
その時が始めてスーの声をきいた時だった。
私もうれしくなり私なりにそれからあれこれとスーの気を引こうとがんばった。
そのことをきっかけに私たち二人は休み時間となれば一緒に遊び一人、一人とスーに友達が増え私も家族かのように喜んだ。
一方本当の家族の両親はというと。
幼稚園からの帰り道にスーのお父さんにあった。
「やあスー、とそちらのレディーはどなたかな?」
「この人はせなが・・・あれ?セナちゃんの上の名前ってなんていうんだっけ」
日本人は平仮名、片仮名、漢字と多くの言葉があるため、そして語感が全然違うため覚えずらいらしい。
「えっと、私はスルーズちゃんの友達の源川 世奈と申します」
「スーに友達・・・」
うれしそうに涙をこらえているのが目に見えてわかったため私は狼狽してしまった。
「あの、えっと、私が友達だとなにかまずいんですか?」
「あ・・・そんなわけないよ、申し送れました、私はスーの父親の
橋本
武
と言います。源川さんってお隣のかい?」
「はい」
「そうか、前に源川さんの家に行ったときには夜だったため、世奈ちゃんのことを見れなかったがこんな良い子だったんだね」
スーのお父さんはうれしそうに膝をつき私とスーを抱きしめた。
「スー、いい友達に会えたね」
「うん!」
「世奈ちゃん」
「はい?」
「スーのことをこれからもよろしくお願いしても良いかな」
「はい!喜んで」
スーのお父さんは日系アメリカ人なため見た目がきれいな黒髪の肩まであるストレートでやさしそうな顔立ちで身長も今の私より高く180cmはある純粋な日本人だった。
そう考えるとスーはお父さん似ではなくお母さん似だということ。
「それじゃあ、まだ仕事があるから二人で楽しくね」
「わかりました、いってらっしゃ〜い」
「イッテラッシャーイ」
スーは見よう見まねで私のやっていたことをして手をふった。
この時から私がスーと言い始めたのは。
スーのお父さんの影響。
私には実の父親というのがいない。
というよりお母さんが私を生む前には体を悪くして死んでいたみたいだ。
そのためスーのお父さんを私のお父さんかのように接したため多くの影響をうけていた。
剣道はお母さん譲りだが気が強いところ意外のしゃべり方はスーのお父さんに少し似ている。
お母さんからは剣道とかこの気が強いところとかいろいろと受け継いでいる。
・・・話は脱線してしまったが私はスーのお父さんに会ってからはスーの家に遊びに行ったり逆に家につれてきたりと楽しく遊んだ。
スーのお父さんは奥さんが私のお父さんに似た時期に死んでいたらしい。
そのため私の家とスーの家と家族ぐるみで仲良くなっていった。
私たちはそんな楽しい日常を過ごしていたためかスーは幼稚園のころより元気になり友達も増え、今のような性格になっていった。
・・・いつからこんなに性格が脱線したんだろ。
私自身は剣道をしゃべり方以外は昔からかわっていない。
だがスーは人の影響を受けるためだんだんと変わっていった。
・・・ああ、中学校のころのあのスケベ野郎の影響か。
中学の時にクラスの人気者がいた。
そいつがまたスーと仲がよくいろいろと話していたらスーもスケベ野郎に似始めた。
明るく楽しい人間だったがいろいろとスケベネタを多く言ったためスケベ野郎と言われた。
本人はそれほどいやではなくあだ名になっていた。
唯一の救いはそのスケベ野郎のスケベネタが移らなかったことだな。
・・・ん?
隣でなんか変な感じがする・・・
私は隣を見たら私にスーが手を近づけて目を閉じて止まっていた。
見た目はいいんだけどなー、ってこいつは何を!
「スー!何人の記憶を見てるんだ!」
この世界では何かしらの能力を持つ人が多くいる。
スーはこのように相手に手を近づけていると相手の考えを読むことができる。
近づけなくても読み取ることはできるみたいだが近づけたほうがよりいっそうわかるらしい。
お母さんは足や手など一瞬だけだが強化され足には攻撃や跳躍、スピードUPなどがあり、手には殴りなど攻撃力や重いものを持ったりと多種多様に活躍ができる。
でも天然であるがためかよくドジをふんで怪我は絶えないが。
・・・私は母さんの娘なのにはないんだよな。
二人がうらやましい。
ってまた忘れてた!
「スー記憶よむの止め!」
スーは意識を集中させているため私の実際の声には反応がない。
だから記憶をよんでいる時は木刀を持ち頭から強く打ち込むことをよくする。
「がふ!」
スーは木刀をうけ頭をおさえながらごろごろと転がりそのうち意識をうしなった。
「ふう・・・」
これでこれ以上よまれることはないと安心をした。
絶対にあと十数秒で起き上がるだろうし。
・・・ほら。
「・・・」
スーは周りをきょろきょろと見回しはじめた。
「・・・ワタシハ、何ヲシテイタノデショウ」
都合よく記憶も飛んだらしい。
いつも記憶を私のをよんだ時は頭を攻撃して記憶が飛ぶのを祈るばかりである。
あー・・・日が傾いてきた。
明日のテストの勉強をしないと本当にあぶないかも。
「スーそれじゃあ遊ぶのはこれくらいにして勉強しよう」
「はーい」
私たちはそれから深夜まで勉強をした。
英語は子供のころからスーに教えてもらっていたためなんとか外国での日常会話くらいはマスターした。
でも日本の勉強している英語ではあまり使わないのが多くてこまる。
そのために私は日本で勉強をする英語は大まかに勉強をしていっている。
国語や歴史なども得意なためなんとかなるのだがやはり数学や科学など数物系が破滅的でいつも赤点をとってしまう。
スーは逆で国語や歴史などが悪く、数物系に関してはいつもランキング内に入る。
二人で無理ところを補うことができるため二人で勉強をしているのだが。
そして二人はいつのまにか寝ていた。
記憶があるのが二時ごろまで。
それ以降から二人とも寝ていたみたい。
・・・私が目が覚めた時はもう朝だった。
周りを見回していたら私たちに毛布をお母さんがかけてくれたみたいだ。
ありがとう・・・
少し感動をしながら時計を見た。
・・・ん?
寝ぼけて見間違えたかな・・・
今度は携帯の時計を見た。
・・・
「スー起きろ!このままだと遅刻どころか一時限目のテストに間に合わないぞ!」
だがスーは気持ちよさそうに眠っていた。
強行手段として私はスーの耳元に大声で。
「スー、起きろー!」
「ふひゃん!な、なんですか!?」
スーは驚き、立ち上がって首を横に大きく振りながら錯乱をしていた。
「時間を見ろ、遅刻は決定だがあと十分以内にでないと本当にテストに間に合わないぞ」
「・・・まじですか!?」
まだ寝ぼけていたらしく驚いて服を脱ぎ始めてそのままでていこうとした。
「まてー!そのままだと恥かくぞ!」
「まったらそれだけ負けに近づきます!」
「意味がわからん!というより服くらい着ろ!」
「おっと、それは忘れてました」
起きた後なのにどっと疲れた感じがする・・・
「そこにスーの制服かけてあるからはやく着替えて行くよ」
「歯を磨いて顔洗いたいですよ」
「時間がないんだから学校でしろ!」
我ながらこんな大雑把になったもんだと私自身でも驚きものだ・・・
「5分で終わらすからそれで簡便してください」
「わかったからはやく着替えてすませてきて」
「わかりました、はりきってすましちゃいますよ」
私もあとから洗面所に行き顔と歯をみがきはじめた。
「世奈ひゃんもきらんれすね」
「・・・いいじゃん、気になるものは気になるんだから」
「ふふふ」
「何よ、急に笑い出して」
「別にー」
「ほら、顔洗って歯も磨いたんだから台所に菓子パンがあるからそれでも食べながら行くよ」
「それじゃあ歯を磨いた意味がありませんよ」
「食べ終わったら学校で磨けばいいでしょ」
「ぶー、わかりましたよー」
私たちは靴を履き、玄関をでた。
「それじゃあお母さん、いってきまーす」
「はい、がんばってね」
二人して手をふりながらできる限り早く走り始めた。
学校までが歩きで十分少々の場所のため走れば三分から四分でつく。
だからぎりぎりの時間だった。
案の定門は閉まっているが二人とも運動神経はいいので簡単に門をのりこえて教室に向かった。
「遅刻しましたー!」
「ましたー」
私のあとにスーが真似てましたといったがよくこんな軽く言えるものね・・・
「また君たちですか、まあいいから早く席に座りなさい」
「すみません」
先生は
篠原
楓
という新任の先生だ。
大和撫子と言っても過言ではないほどの日本的な美しさをもった女性。
性格もものすごくおしとやかで優しいので学校でも人気の先生である。
そんな先生が私たちのクラスの担任になってくれたことが今年のラッキーだったかもしれない。
去年の禿げおやじの先生だと少しでも遅れたら絶対に廊下に立たされて放課後にみっちりと補習をさせられて帰るのが遅くになってお母さんに怒られてといやな流れができてしまうのは目に見えている。
「それでは最初の科目で国語ですね、私の授業ですから質問があったらテストの答え以外でしたら答えますので言ってくださいね」
「はい」
「それではプリントを後ろに裏返しのまままわしてください、あまったら言ってくださいね」
みんな楓先生の言うことをちゃんと聞き後ろに回している。
「あまりはでなかったみたいなので、えっと今から五十分間テスト開始です」
プリントを表にしてみんな黙々と書き始めた。
元々楓先生の授業はわかりやすいので有名でテスト問題も嫌味な問題はなく意味もわかりやすく書いていたためすんなりと解けた。
そして一時限目の授業が終わりテスト問題を回収をして大きな封筒の中にいれた。
一日のテスト問題をその封筒の中にいれているため四束ほどの封筒がある。
「楓先生」
「はい?なんですか?」
「今日は遅刻してすみませんでした」
「ふふ、目の下にくまができてますよ」
「え!?」
昨日夜遅くまで勉強してたからできちゃったみたい。
変な顔になっちゃってるかな・・・
「昨日がんばってみたいですね」
「あ、えっと」
「無理しないで言ってくださいね、言ってくれれば別の日にでもテストをうけれるように教頭先生に話してみますから」
「はい、ありがとうございます」
「次は数学ですからがんばってくださいね」
「わかりました」
私は机に楓先生のようになりたいなーと憧れのまなざしでみていたら肩を叩かれ我に返った。
意識が戻ったら周りの人たちと何事もなかったかのように次の授業まで勉強をしはじめた。
そして二時限目、三時限目とすぎ昼前の最後の四時限目になった。
「それでは今日最後の英語の授業のテストです。みなさん机にでている筆記用具以外のものをしまってください」
みんなは机に出ているものを筆記用具以外をしまいはじめた。
「それではプリントを後ろに回してください」
これも言うことをきいて回しはじめた。
「それでははじめてください」
今日最後のしかも最重要の英語のためかみんながんばってテストの問題をうめていった。
すべてうめおわり、周りも書く音が止まり始めてあと二十分というところで事件がおきた。
「う・・・うぅ・・・」
前の席でうめき声が聞こえ、みんなそちらに集中をした。
うめき声を出している人はたしか
山田
聡
という生徒。
これといって目立ったことはなく、良くも悪くも普通の生徒だった。
だけど今になってうめき声を?
苦しいのかな。
「山田君、大丈夫?無理しないで保健室にいってらっしゃい」
楓先生は声をかけたが反応はなくただうめき声を出していた。
「困ったわね・・・皆さんを信用してちょっと山田君を保健室へ連れて行きますので時間になったら回収をして机の上においてまっていてくださいね」
「はい」
山田以外の生徒が返事をして楓先生が立たせようとしたとき。
「うぅ・・・うがー!」
急に発狂をしはじめ楓先生をつきとばした。
そして頭を打ちつけ気絶をしてしまった楓先生。
「もしかして・・・能力の暴走しちゃったのか?」
「そうみたいですよ、山田君は元々私と違うものですが深層心理を読んで相手の知識を見ることができる能力者ですから」
そう、スーは相手の考えを読むのであって相手の記憶は読むことはできない、逆に山田は相手の知識や記憶を読むことはできるが頭の中で考えていることはわからない。
今回は山田がテスト中に周りに気づかれずに能力を使い続け、うけていたらしい。
能力が暴走したのが使いすぎよるオーバーヒート。
暴走した者は人一倍、凶暴化と筋肉強化など手がつけられなくなってしまう。
暴走した山田がまた楓先生を攻撃しようと少しずつ歩み寄って行った。
「それ以上先生を傷つけるな!」
私は考えもせずにいつも持ち歩く木刀を手に持ち山田の脳天を目掛けて攻撃をした。
がつん!と叩かれた音はした。
・・・手ごたえはあるのに山田は何もなかったかのように私をにらみはじめた。
「・・・うそ、暴走してもこんなに強くならないのに」
普通は人一倍であって100%の力と防御力になるだけだ。
なのに今回はその限界をはるかに超えた防御力をもっている。
「でも気が私にそれた、早く楓先生をつれて外にみんな逃げて、それと警察に連絡!」
テストは一時中断され、というよりせざるを得ない状態のためみんな外に逃げてもらった。
「これで私と山田だけになったな・・・」
「私もいるですよ」
「うわぁ!急に後ろからでてくるな!びっくりするじゃないか!」
「もー、いいじゃないですか、それより私の能力使いますよ」
「・・・わかった、暴走する予兆がでたらすぐ止めるんだぞ」
「わっかりましたー、それじゃあいきましょう」
スーの広範囲での他人の考えを読む能力を使ってもらっている。
「・・・ん?」
「どうしたの、スー」
「えっと、私たち以外の声で、といっても山田君でもない人の声で失敗作か・・・と考えた人がいるですよ」
「失敗作?」
「はい、どういうことでしょ」
「今は関係ないことだろ」
「ですかね」
「山田の考えが読めたらいってちょうだい。それをヒントに攻撃するから」
スーがうなずき私はスーに近づかないように相手の攻撃をよけながら急所といえる急所を攻撃していった。
「世奈ちゃん、今回の山田君が暴走した理由わかりましたよ」
「本当か!?」
「案の定、テストでの能力を使い続けて暴走したみたいです」
「そうか、それだと攻撃に関するヒントにならんな・・・」
「それなら人間の急所といえる、いえ男性の急所といえるあそこを攻撃してみては?」
・・・
「・・・スー」
「はい?」
「お前はなんて変なところの攻撃対象を考えるんだ!」
「でも、男性ってそこって鍛えようがないって聞いたことがあるので」
・・・鍛えようがない場所として内臓、眼球、股間などがある。
内臓攻撃は私はできない。
ただの木刀でできる人がいたらそれのほうがすごいし。
眼球を攻撃しようにも首より上はもう警戒をしているためあたりずらい。
残るは考えれる場所はやはりそこだけか・・・
「スー、相手の攻撃を読んで私に教えてくれ」
「すぐに、ストレートパンチきます」
急な返答で私は少し止まったが体が先によけていた。
「次に右蹴りとそれにあわせたかかと落とし」
連携のような攻撃をかわし隙をうかがっていた。
「左手刀のあとに隙ができます!」
指示通り左手刀をよけて全力の股間に切り上げ技をくらわせた。
山田は股間に攻撃をくらってなんかキーンっていう音がでそうなほどの苦痛の顔をした。
倒れて地面をバンバンと叩いて数秒後意識をうしなった。
「ふぅ・・・なんとかなったー」
私は腰を落として戦いが終わったことに安堵した。
・・・暴走したとはいえ男性の股間を攻撃して倒すなんて我ながら悲しい勝利だったなと思える。
「世奈ちゃん、勝ったですよ」
スーが私の首に飛びつき抱きしめた。
「ちょ、なに抱きついてるのよ!」
「・・・怖かったですよー、ひっく・・・」
そうだった。
元々は友達を失うのが一番怖いと知っているスーだからこんな戦いでも怖いと感じてしまう。
「・・・大丈夫、スーがいれば私は負けないし、絶対に怖い思いはさせないから」
「本当ですか?」
「約束、私はスーに戦いになっても負けたところを見せないと」
「・・・約束ですよ」
二人で小指と小指を結んだ。
「ゆーびきりげんまんうそついたらはりせんぼんのーます、ゆびきった」
私たちはスーが首に抱きついたまま両者とも微笑みだした。
「俺らのクラスでこれ以上暴走するな・・・って」
クラスの人たちが戻ってきて私たち二人を見た。
「お前らってそんな関係だったのか・・・」
男性も女性も顔を真っ赤にして何事もなかったかのようにまた教室の外にでていこうとした。
「ま、まて!仲はいいがそんな関係じゃなくて!」
「私たちは一心同体ですよー」
「きゃー、やっぱりそんな関係なんだ」
「だ、だから違うって!」
「先生は二人が愛し合うなら反対はしないわ」
「先生まで・・・」
「ナビゲーターとして私はいつも世奈ちゃんと一緒ですよ」
「だから違うんだー!」
・・・
それから山田は能力は失いはしたものの意識は取り戻し今までどおりの生活をしている。
法律上、この国では能力の暴走は災害と同じで裁判沙汰にはならない。
そっちはこれで解決したとして・・・
「スー、そろそろ私にべたべたするのやめてくれないか」
「いいじゃないですか、みんなが私たちを祝福してくれてますよ」
周りの男女ともに私たちを冷やかし、そして祝福というからかいをしている。
「私との約束、守ってくださいね」
「う・・・」
それを言われると弱いな・・・
いつかこの冷やかしやからかいはやむと考え私は半ばあきらめて身をまかせた。
「それじゃあ今日はテストも全員提出できたということですので、これでホームルームを終わりにします。みなさんさようなら」
「さようならー」
私たちも鞄を持ち家に帰る。
明日のために。
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